校長室から From Principal Office
  平成二十八年度入学式 式辞


 雨に濡れた木々芽も昨日までの暖かさのため一段と膨らみを増した今日の佳き日、
栗原市 総務部部長 佐藤克彦様 宮城県議会議員 熊谷義彦様 長谷川敦様をはじめ、公私ともにお忙しい中多くのご来賓の皆様のご臨席を賜り、ここに平成二十八年度入学式を挙行できますことに、心から感謝と御礼を申し上げます。

 只今入学を許可いたしました八十二名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。入学を心から祝福いたしますとともに、本校の生徒として心から歓迎いたします。また、ご列席の保護者の皆様にもこれまでのご養育のご心労をねぎらい申し上げるとともに併せてご子弟の本校入学をお祝い申し上げます。

 本校は、皆さんがご存じのように長い歴史と伝統を持っております。昭和十六年に町立の岩ヶ崎実科女学校として創立され、幾多の変遷を経、昭和二十六年に男女共学の宮城県岩ヶ崎高等学校となり、今年で七十五年を迎えました。卒業生は、一万三千名弱となり、この栗原の地はもとより県内だけにとどまらず、全国や海外でも活躍なさっております。その中のお一人が、皆さんもよく知っているリオオリンピック出場平成二年度卒業の秋山輝吉選手です。このように卒業生が全国各地でご活躍されていることは皆さんもご承知のことと思います。

 このような卒業生を育てた本校の教育目標は、尚志育英という建学の精神に則り、調和のある人間形成を目指し、「心身の健康」「知性の伸長」「人格の尊重」の三つを掲げております。建学の精神の「尚志育成」とは志を高く持ち、自己の持つ優れた才能を育てることです。自分の夢を抱き、努力する姿にほかなりません。このことは本校の学校生活にあらわれております。落ち着いた校風と学習や部活動に対して意欲的な取り組みをする生徒達、そしてそれを支える教職員の集まりです。どうぞ新入生の皆さんも思う存分自分の才能を開花させ、伸ばすことが出来る環境ですから、何事にも挑戦していってほしいと思います。

 入学に際し、一つ言葉を贈りたいと思います。江戸時代の儒学者佐藤一斎という方が書いた「言志四録」の中の「少して学べば則ち壮にして為すこと有り。壮にして学べば則ち老いて衰えず。老いて学べば則ち死して朽ちず」という言葉の中の「少して学べば則ち壮にして為すこと有り」という一説です。「若くして学べば世のため人のために役に立つこととなる」という解釈ができます。この学ぶというのは、「学問を学ぶ」ということも勿論ありますが、それだけではありません。若くして学ぶとは、様々なことを経験してゆくことだと考えます。若いときこそ、いろいろなことに挑戦し、その中で喜びやうれしさ、悩み、苦しみを経験することにより、人間として心のあり方を学びます。壁にぶつかるかもしれません。しかし、その壁を乗り越えられる方策や助けてくれる友を見つけることの出来る経験も学びだと考えます。バーチャルな世界だけでなく、この現実世界で五感を動かし考え抜く、そしていろいろな考え方が出来るようになることは、人間としての幅も広げてくれますし、成長できることにつながります。それこそが学びだと思います。この岩ヶ崎高校は、その学びができる学校です。新入生の皆さん、どんどん自分の夢を実現するべく様々な経験をし、学び、高校生活を充実したものにしてください。

 最後に保護者の皆様 高校時代は多感で揺れやすく、何事にも影響を受けやすい時期でもあります。大人の面と子供の面を持ち合わせているこの時期を、佳き相談相手となり、人生の先輩として励まし、見守っていただきたいと思います。時には、子供の背中を押したり、体を張って自分のお子さんと向き合わなければならない時があるかもしれません。勿論私ども教職員も力を合わせ、お子様の輝かしい未来のために、精一杯取り組んでいきたいと考えております。ご理解とご協力をお願い申し上げます。

 それでは、新入生の皆さん、この岩ヶ崎高校で有意義な日々を送り、三年後大きく成長することを祈念し、式辞といたします。

 

平成28年4月7日

 

  「無限の可能性」 平成28年度 進路の手引き巻頭言より


 高校時代はまさに志を高く持ち、大いなる夢を抱き、様々なことに挑戦できる時期です。 そして、これからの人生をどのように生きていくのか、何をしたいのか、何に価値を見いだすのか、自分と対話しつつ自分を見つめながら、考えていく時期に他なりません。そのうえ、授業、部活動、友人との語らいなど密度の高い時間が流れていきます。進むべき未来について、志望はあるもののまだまだ漠然とし、何をしたらよいのだろうかと考えている日々かもしれません。 しかし、実はこの濃密な高校生活の一瞬一瞬の積み重ねこそが、高校生活の集大成となり、進路に現れてくるのだろうと考えます。
 一方、社会や経済状態が混沌としている今、自分の進むべき道を決めなければならないみなさんは、不安をもっているに違いありません。その不安を少しでも払拭するためには、甘い考えを捨て、進路について積極的に、できる限り早期に希望する進路を決定してください。そして、中長期的な目標を立て、その達成に向けて日々努力を重ねてください。
 もちろん希望する進路決定には、自分自身を振り返り、自分の能力や適性、興味・関心等さらなる自分の理解が必要となります。また、自分だけで決めるのではなく、社会経験豊富な保護者や先生、先輩などの意見にも耳を傾け、教えを請うことにより、堅実で確固たる進路希望が決定できるのではないかと考えます。
 そのためにも、みなさんには、是非進路を考えるきっかけとして「進路の手引き」を手にしてほしいと思います。ここには今までの岩ヶ崎高校の軌跡があり、掲載されている卒業生のデーターや体験記は、進路の取り組みの全体像を物語っています。進路実現に向け、参考となる情報が満載されています。よりよい進路決定や日々の学習の指針として、最大限に生かしてほしいと思います。
 皆さんには、無限の可能性があります。学習においても、文化・スポーツにおいても、常により高い目標に向かって挑戦してください。そうすることによって、高校生活がより充実したものになることでしょう。心から健闘を祈ります。
 最後に「進路の手引き」作成のために、原稿を寄せていただきました先輩と尽力いただきました先生方に感謝いたします。ありがとうございました。